「妊活がうまくいかない」「精子に異常があるのか気になる」「ネットで精索静脈瘤を知った」など、不妊でお悩みの方々へ。この記事では精索静脈瘤について、原因や病気の見つけ方、手術や費用に関することなどについて、私たちが経験したことを基にご紹介していきたいと思います。
男性不妊ってなに？という方は以下の記事をお読みください。
１．精索静脈瘤とは
精索静脈瘤とは、精索内の血管が拡張し、血液の逆流が生じる状態のことです。精巣内の温度が上昇したり血流が悪くなったりすることで精巣に悪影響を及ぼし、男性不妊を引き起こしてしまいます。一般男性の１５％に精索静脈瘤が見られるといわれ、男性不妊の原因としては最も多いものとなります。
２．精索静脈瘤と男性不妊の関連性
精索静脈瘤は、主に精子の運動率の低下、正常形態率の低下、総精子数の低下を招きます。正常に精子の生成が行われなくなることにより、不妊となります。従って、精索静脈瘤は男性不妊の原因と言えます。
３．原因
静脈は、心臓に戻る血液の逆流を防ぐために備わった「弁（べん）」と呼ばれる機能を持っています。この弁によって、静脈の血管内では血液が一方向に向かって心臓に流れるように制御されています。
精索は精巣から上方に伸びる管で、その中には精索静脈と精索動脈が流れています。精索静脈は心臓に戻る血液の重要な経路ですが、精巣が心臓よりも低い位置にあるため、そのままであれば逆流してしまいます。そのため精索静脈には逆流を防ぐための弁が存在しています。この弁が正常に機能しなくなることで、血液が逆流して停滞してしまうことが原因とされます。
４．精索静脈瘤は見た目で分かるか、症状はあるか
見た目で分かるか
分かる場合があります。精索静脈瘤はその進行状況に応じてグレードがあります。特に進行している場合、視認できます。以下が、セルフチェック時のポイントになりますが、あくまでも自己判断ではなく、医療機関にかかる方が確実です。
- 左右の陰嚢のサイズが異なる
- 陰嚢がいつも垂れ下がっている。
- 陰嚢の表面がぼこぼこしている。表面にうにょうにょしたものが見える。
ちなみに、診断時は気付きませんでしたが、言われてみれば、僕はすべてこの項目に当てはまっていました。明らかに変だなぁと以前から思ってました。
症状はあるか
ほとんどが無症状です。そのため、発見も遅れやすいと言われています。ただし、人によって精索静脈瘤の状態が異なり、鼠径部や陰嚢の違和感をおぼえたり、不快感をもったりする方がいます。進行具合によっては痛みを感じる方もいるようです。
僕は軽い痛みを感じたり、ずーっと何か不快感を感じていました。精索静脈瘤を知るまでは、「なーんか変だなぁ」と思っていたので、原因が分かってある意味スッキリしました。
５．夫が受けた手術について
精索静脈瘤は基本的に手術で治療をすることが多いですが、手術の方法も様々です。この章では特に夫が受けた手術について紹介していきます。
なんという手術を受けたか
顕微鏡下精索静脈瘤手術です。
顕微鏡下精索静脈瘤手術とは
前述の通り、精索静脈内の血液が逆流することが原因なので、精索内の血液が停滞して拡張してしまった静脈を糸で縛った上で切断して、逆流しないようにする手術のことです。
顕微鏡下精索静脈瘤手術のメリット
- 再発する可能性が低い。
- 陰嚢水腫の合併が少ない。
- 創が小さく痛みが少ない。
合併症や感染症などの可能性は低いですが、もちろん全くないということはないですよという旨の説明は受けました。
日帰りか、入院か
入院することも可能ですが、日帰りでできることもこの手術のメリットです。
手術をしてどうなるのか
陰嚢の痛みや不快感などの自覚症状は約９５％の方で改善されるようです。また、男性不妊で困っている方は、約７０％の方で精子数や運動率の増加が認められるようです。
手術までの経緯
①２０２１年４月中旬、レディースクリニックからの紹介で男性不妊の実績のある泌尿器科を受診。精索静脈瘤と診断される。手術を勧められる。
②同年４月下旬、再受診。手術のスケジュールを聞くと、来月に受けられる日があるが、仕事日。しかしその日を逃すとだいぶ先になってしまう。→手術をすることを決める。
③同年５月上旬、手術前の検査として再受診。
④同年５月中旬手術。
精索静脈瘤が自然治癒することはないので、手術の恐怖というか「早く治せるならお願いしたい！」と思っていました。先延ばしにしても、不妊の状況や身体の状況にとっても何にもよいことないですからね。
手術前
前日２１時以降、絶食して、間食も朝食もしてはいけないという指示でした。ただし朝起きたら一杯の水を飲むということでした。
僕は「絶食」が頭に入りすぎてて朝起きて水を飲むのを忘れました。その結果、血管が浮き出てこず、注射に苦労しました。皆さんはしっかり言われたことを守りましょう。
手術当日
帰りは一人で帰れないので、妻と来院しました。
手術は説明を受けてからは剃毛です。剃毛はリラックスした状態で行いました。次に局所麻酔、静脈麻酔です。この注射がまぁまぁ痛かったような気がします。なんせ、鼠径部あたりに長い針を刺されるのですから…しかも数回…
手術中は意識が朦朧としている感じでした。ぐっすり寝ていたようにも感じませんでしたが、そこまで長いと感じず、あっという間に終わりました。
実際は２時間弱かかっていたそうです。
手術後はぐったりしていて、車いすで移動し、安静にしました。痛みなどはありませんでした。少しまた寝てから昼食を食べました。これが数時間ぶりの食事でしたのでモリモリ食べたことで気分が悪くなりました。
夕方になり、帰宅が認められたため、妻と一緒に帰宅。段々痛みがきて上手く歩けないため付き添ってもらって正解でした。この時、鼠径部２か所（僕は２か所の手術だったので）にはガーゼが貼られている状態でした。
手術後
当日はシャワーも入浴も禁止でしたので次の日にシャワーを浴びました。入浴自体は１週間後からOKでした。
何より自分の傷を見るのが本当に怖かったです。傷は大きくなく、２ｃｍくらいのキツネの目があるようなイメージです。傷口が残るのではと心配しましたが、現在は陰毛で隠れているのと、そもそも皮膚が完全に再生して全然分かりません。
手術後の痛み・どうしても痛くなったら
帰宅後、急変したときのために、お医者さんが電話番号を教えてくれました。１週間は痛みがありました。一度、とても痛くなったので電話をしましたが、「様子見をしてください」と言われ、過ごしていると１日ほどで大きな痛みは消えました。それ以来は特に変わりはありません。最初のうちはガーゼを変えるときにヒヤヒヤしました。
手術後、いつからSEXが可能か
基本的に、１週間後からOKとのことでした。しかし、痛む場合は控えるのと、激しい動きはダメということでした。
１週間後でも少し傷口は痛んだので、あんまり無理はしないことが大切です。
６．手術にかかった費用
７６，７９０円でした。また、複数の加入している医療保険に申請して、２５万ほど返ってきました。
保険でお金が返ってきてありがたいですが、結局は不妊治療のための治療費や様々なクリニックへの移動費もかかっていたので、結果的には…
７．手術後の経過（手術後の精子の変容）
精索静脈瘤の手術をしてから、どれくらいして精子の回復が見られるのでしょうか。
精子は作られるまでに７４日かかると言われています。従って、精索静脈瘤の手術をした結果は３か月後くらいから徐々に見え始めると言われています。夫まーたの記録をグラフ化したものをご覧ください。
いかがでしょうか。運動率はばらつきがありますが、精子濃度や総精子数は段々と改善傾向が見られました。
（途中でクリニックが変更になったので記録が取れていないところがあります。）また、生活改善も合わせて行っていくことで精子の改善が見られました。
生活改善を図りながら精子の質を向上させました。以下の記事もぜひご覧ください。
最後に
精索静脈瘤は多くの男性で見られ、また男性不妊の大きな原因でもあります。上記の記事を読みながら、関心が高まったり、自分に当てはまるところがあった方はぜひ、医療機関を受診されることをおすすめします。早い段階からの治療が、望む未来への近道になるはずです。
「手術」と聞くと、決断することをためらってしまいますよね。色々なことが重なったとき、不安で前に進めないこともあると思いますが、その時こそ夫婦でしっかり話し合ってよりよい選択をしていきたいですね。
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