「計画的に妊活を頑張っているのに上手くいっていないな…」「不妊症って女性だけの問題じゃないの？」
妊活されている方々の中にはたくさんの不安を抱えている方も多いと思います。
この記事では、知られているようであまり知られていない「男性不妊」について
男性不妊治療経験者の妻が解説していきます。
男性不妊とは
「不妊症」とは、妊娠を望み、避妊をせずに、性行為を1年以上続けても妊娠に至らない状態を指します。その中でも、男性に原因がある場合を「男性不妊症」と呼びます。
WHOの報告によると、不妊に悩む夫婦の原因の約50%が男性由来のものと言われています。このことから、妊活においては女性だけでなく、男性も自分自身の健康状態を把握したり、状況に応じて受診したりするなど、妊娠に向けた努力が重要だと言えます。
まさか、自分自身にも大きな原因があるだなんて思いもしなかった。
理解もそうだけど、なかなか受け入れられなかったよね～
男性不妊の種類と原因
男性不妊にはさまざまな種類と原因があります。
造精機能障害（精巣内で精子が正常に作られない）
精巣内で精子が正常に作られないこの障害には、主に以下の疾患が含まれます。
- 乏精子症（精液中の精子が少ない）
- 精子無力症（精子の運動率が低い）
- 奇形精子症（精液中に正常な形の精子が少ない）
- 無精子症（精液中に精子がまったくいない）
造精機能障害は約90%を占めていると言われています。特に、最も一般的な原因の一つは「精索静脈瘤」で、痛みがないため発見が遅れることもあります。
精子の質が低下している場合は、この精索静脈瘤の可能性があります。陰嚢サイズの差、陰嚢の表面のしわやでこぼこ、座位や立位後の痛み、陰嚢の表面にぷよぷよとしたこぶが感じられるかどうかを確認することが重要です。
ちなみに僕は精液中の精子が極端に少ない「乏精子症」といわれるもので、また両側の精索静脈瘤がありました。この「精索静脈瘤」について詳しくは、ぜひ以下の記事をご覧ください。
造精機能障害の最も一般的な原因は精索静脈瘤ですが、半分以上の原因は分かっていないと言われています。
その中で男性の生活習慣が精子に与える影響は大きく、現状の生活習慣が不規則な方は改めることで精子の質を改善することができるかもしれません。
僕も生活習慣を徹底的に見直し、効果を実感しました。以下の記事で僕が精子改善のために始めた習慣をまとめていますので、よろしければご覧ください。
精路通過障害（精子の通り道が塞がってしまっている）
精子の通り道が塞がってしまっているこの障害には主に以下の疾患が含まれます。
- 先天性精管欠損症
- 尿道炎
- 精巣上体炎
精索静脈瘤と同様、痛みなどがなく、発見が遅れてしまうことがあります。以前ヘルニアの手術をしていた…など場合に、精管を欠損してしまったことが原因になることもあるようです。
性機能障害（勃起や射精がうまくできない）
勃起や射精が上手くできないこの障害には主に以下の疾患が含まれます。
- 勃起不全（ED）
- 逆行性射精
- 膣内射精障害
性機能障害は、心理的なもの、身体的なものなど原因が様々ですが、男性不妊においては、妊娠に対するプレッシャーなども大きな原因と考えられます。
正直、排卵日前後は精神的に参ったね…
作業的になって本当に辛かったよね…
男性不妊の診断方法
男性不妊の診断方法は主に以下の通りです。
精液検査
数日間の禁欲の後、マスターベーションにより精液を採取します。
精液量、精子濃度、精子運動率、正常形態率など、精液の所見を調べます。WHO公表の基準があり、それに照らし合わせて考えます。
＜精液検査の基準値＞
| 項目 | 下限基準値 |
| 精液量 | 1.4cc |
| 精子濃度 | 1600万/ml |
| 総精子数 | 3900万 |
| 運動率 | 42% |
| 前進運動率 | 30% |
| 生存率 | 54% |
| 正常形態率 | 4% |
Sixth edition
これらの値は、自然妊娠できる最低限の値です。
ちなみに僕の記録では精子濃度が５００万ほど、運動率も２０％くらいのときがありました。
ただし、これらの値を上回っていても妊娠する保証はありません。また、値が下回っていても、妊娠する可能性はあります。
僕も数十回精液検査をしてきました。ちなみに禁欲期間の指示は医療機関によって異なりました。ちなみに、精子は自宅からの持ち込み、医療機関の採精室での採取の両パターンがあります。
初めての精液検査で不安な人は、自宅でできる精液検査キットもあるので、お試しでやってみてもよいかもです。
精液検査についての記事は以下にまとめましたので、ぜひお読みください。
触診
実際に医師が触診をします。初めての人は恥ずかしいと思うかもしれませんが、自分の体のためだと思うと、そのようなことは言っていられません。主に次のような目的があります。
- 外陰部の観察（睾丸の周囲にぼこぼこがないか。異常な血管がないか）
- 精巣の大きさに左右差はないか。
- 前立腺の肥大はないか
また超音波検査がされます。超音波のプローブを陰嚢の精巣部分に、また精索部分に当てながら精索静脈瘤を確認します。その後、お腹に力を入れたり、抜いたりを繰り返し、血液の逆流を確認します。
僕はこれで見事（？）精索静脈瘤が発見されました。さらに、陰嚢のサイズも小さかったと聞いてショックを受けたのを覚えています。
血液検査
血液検査では、ホルモン検査、抗体検査を行います。造精機能障害、勃起障害、射精障害など様々な問題を確認します。
男性不妊の治療方法
男性不妊症の治療は、症状の軽度や重度に応じて薬物療法や手術療法が選択されます。
薬物療法
薬物療法では、「補中益気湯」などの漢方薬が使われます。漢方薬の効能により、胃腸の機能改善や気力向上を促進し、精子の濃度や運動率の向上が期待できます。
また、ビタミン剤やホルモン剤を含むサプリメントが処方され、精子の量や運動率の改善が図られます。
漢方薬や、サプリメントを服用したからといって、効果がすぐに期待されるわけではありません。
精子はおよそ７４日間かけて作られるので、薬物療法の効果の有無を確認するには、３カ月以上は続けなければいけません。
僕も「補中益気湯」を飲んでいました。…が効果は感じられず。とにかく根気強く服用しました。でも意外と３カ月はあっという間ですよ。
もちろん、おすすめのサプリメントについても今後詳しい記事を出します。
手術療法
手術療法には、精索静脈瘤手術があります。日帰りのもの、入院を要するもの、全身麻酔で行うもの、局所麻酔で行うもの、また手術の方法には様々なものがあるので、ご自身の身体状況、その他希望に合った方法を選ばれると良いでしょう。
治療においては、ホルモン治療、漢方、サプリメント、手術など多岐にわたり、選択が難しいため医師との相談が重要です。
最後に
「不妊」は女性側の問題だろうと思っていました。いざ自分に原因があると分かっても、「痛くて恐ろしい治療があるのでは…」「入院が必要かも…」と不安になって前に進めませんでした。
しかし、今は勇気をもって男性不妊治療をして本当によかったと思っています。妻と何度も喧嘩をしましたが、最終的なゴールは「子どもが欲しい」でした。その願いが一つなら、進むしかないと思いました。辛いことはもちろん女性も同じです。むしろ、出産を控える女性側の負担の方が大きいとも言えます。今、不妊で悩んでいる男性は、ぜひ医療機関へ相談してみてはいかがでしょうか。男性の理解が、きっと２人の将来を変えますよ。
不妊という壁を夫婦2人で乗り越えるためにはお互いの理解と尊重が不可欠です。私の場合、夫は迷いながらも、男性不妊を受け入れてくれてからは、早急に色々な決断をしてくれたので、本当に助かりました。またそれが私自身の治療の励みにもなりました。なかなかうまくいかないときはぜひ夫婦共に、早めの医療機関への相談を。今の一歩が輝く未来になりますように。
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