現在不妊治療中で、特に男性不妊で悩まれている夫婦では、日々お互いの理解と尊重が大切になってきます。
夫と協力して治療を頑張っていきたいけど、なかなか理解してくれないと感じていますか?
「夫のここをもっと、こうしてくれるといいんだけどなぁ」と感じることはありますか?
夫と不妊治療について話をするとき、悪い雰囲気になりますか?
夫と自分の間に、治療に対する考え方の差があると感じていますか?
お互いに考えていることは、夫婦であっても分かり合えないところもあります。
それが男性不妊というとても個人的な内容である場合、特に分かり合えることは難しくなるでしょう。
そこで、今回は男性不妊の夫の気持ちがどんなものなのか、実際に私の夫に当時の心境を尋ねてみました。
ただしあくまでも私の夫の個人的な意見であるということをご了承ください。
以下の記事もぜひご覧ください。
男性不妊の夫の気持ち
1 男として情けない
まず第一に上がったのは、「男として情けない」でした。
「男は本能として、子孫を繁栄させることを目指している」と良く言われますが、日常で意識することはあまりないと思います。
それは、日常生活で「子孫を繁栄させる」ような直接的な場面がほぼないからです。
ただし、妊活、いわゆる子どもが欲しいと願うときは、まさに子孫を残そうと頑張るときです。
そこで自分の生殖能力に問題があり、それが正常に叶わないと分かったとき、
「あぁ、俺は男として情けない…」と感じてしまうのです。
もちろん、それは全く情けないことではありません。生殖能力に影響を及ぼす原因はたくさんありますし、自分のコントロールのきかないこともあります。
しかし、男として生まれ、愛する妻と子ども願ったときに、それを阻む原因が自分にあったときには、自分自身を責めてしまうのです。
このような夫の考え方に気付かないと、妻と意見がすれ違うときには
「いいんだよ、俺なんて!!」
「はいはい、どうせ俺は…」
などと感情的に卑下してしまうこともあるかもしれません。
2 誰が気持ちを分かってくれるのだろうか?
次は、「誰が気持ちを分かってくれるのだろうか」です。
まず、不妊治療および出産、その後のことまでを考えたときに、身体的、精神的に負担が大きいのは、男女どちらか。
多くの場合、女性と答えられるでしょう。
また、夫婦間においても妻は、「女がどんなときも苦しい思いをする!」と考えます。
実際、不妊治療中、女性は基礎体温を測って毎日記録を付けたり、何度も病院に足を運んでは負担の大きい治療を受けたり、元気な子どもを授かれる安心な身体に整えられているかと日々考えたり…と、身体的にも精神的にも追い詰められています。
一方妻から見ると夫は
「精子を出すだけでしょ。」
と捉えられている場合があります。
私も実際、何度このようなことを夫に対して言ったか分かりません。
夫側はそれを聞いたら「男だって辛いんだぞ!!」とさすがに怒り出すでしょう。
でも、夫は、妻が自分以上に辛い思いをして治療を頑張っていることをちゃんと知っています。
だからこそ、夫は自分の不妊の悩みを誰にも相談できずに苦しんでしまうのです。
実際、男性不妊のときは悩みました。妻に弱音を吐こうにも
「私だって辛いんだけど」って言われるんじゃないかと思っていました。
3 仕事との両立が辛い
三つ目は「仕事との両立が辛い」です。
男性でも育休を取ることを推奨されている世の中で、昔よりは家庭への配慮が認められてきたように感じられますが、まだまだ「男性は働き、女性が家庭を守る」という考え方は根強く残っています。
会社の中で上手く立ち回りができておらず、家庭優先の動きをすることが難しい方も多くいるでしょう。
私の夫は幸い、休みを取りやすい環境(部署)での仕事になったため、当初よりは治療を進めやすくなりました。
しかし、休めるからと言ってすべてが良いというわけではありません。
次のような問題があります。
- 休んだ分、仕事が溜まる。
- 休みをもらう以上、計画的に日々の業務をこなさなくてはならない。
- 休むことで、他の方へ負担がいき、その分、お返し(義理)ができてしまうと考える。
- 円滑に休むために、周囲との人間関係を形成しておく必要がある。
- そもそも仕事に対するストレスがある上に、治療を続けることへの負担がある。
夫婦の人生は、不妊治療だけではないし、かといって家事だけでもなければ仕事だけでもありません。
一人一人が様々な責務を抱えて生きているのです。
男性の中には
「今は仕事が忙しいんだよ!」
と言って治療に乗り気になれない方もいるでしょう。
その場合、上記の問題のいずれかがあることで、仕事をしながらの不妊治療が考えられない状況だと思われます。
夫の気持ちを理解した上で、今後の関わり方で大切なこと
男性不妊で悩まれている夫に共通して言えることは、やはり「男としての誇りやプライドがある」ということではないでしょうか。
精子の数が少なかったり、運動率が低かったりすることで、男性不妊の治療を勧められるということはつまり、
「男としての自分を否定されている」と考えられるのです。
夫の精子所見が悪かったとき、「はぁ…」とため息をついていませんか?
夫が人知れず打ち明けたい悩みや気持ちに、気付いていますか?
自分ばかりが頑張っていると思っていませんか?
「夫と協力して治療を頑張っていきたいけど、夫がなかなか理解してくれない」
などの不満や
「夫のここをもっと、こうしてくれるといいんだけどなぁ」
などの要望や希望を聞いてほしい、または直してほしいと感じたときには、
夫がどのような発言をしたり、どのような行動しているのかについてよく考え、
こちら側のアプローチを変えていく必要があるでしょう。
コメント